こども英会話教室は成長分野らしい
ベネッセがこども英会話のミネルバを買収
小学校での英語の授業の導入が低学年化するのにともない、英語教育に対する需要は今後増えていくと予想されています。
通信教育その他教育事業を多く手掛けるベネッセは現在すでにベルリッツブランドの大人英会話に加えBenesseこども英語教室を展開していますが、先日こども英会話教室のミネルバを買収したと報道されました。
10月20日(平成26年)の日経の記事を引用します。
ベネッセホールディングスは子ども向け英会話教室「こども英会話のミネルヴァ」を運営するミネルヴァインテリジェンス(東京・新宿)を買収する。同社の売上高は2014年8月期で31億円。ベネッセは事業子会社ベネッセコーポレーションが保育園児から中学生までを対象にした英会話教室「ベネッセこども英語教室」を運営している。ミネルヴァを傘下に置き、こども向け英会話教室の全国展開を加速する狙いだ。(引用終わり)
また、読売新聞の別の記事によるとミネルヴァの全国の教室数は合計約400教室で会員数は約2万3000人だそうです。
こども英会話の教室平均売上高
これらの報道に基づくと、ミネルバの1教室当たりの売上高は平均約780万円、1教室当たり生徒数約57名で、生徒さん1人あたり単価約13万7千円、12か月で割ると約1万1千円になります。ミネルバのHPを見ると主力と思われる英会話レッスンの月謝が8千円か9千円となっているようですから(その他に入会金、年会費などあり)これらと符合する数字です。
福岡では近頃伊勢谷さんのテレビコマーシャルでCoCo塾ジュニアの積極的な展開があり、それに呼応するように関口麻里さんを起用してEECジュニアが積極的にコマーシャルを展開するなど激しい宣伝合戦が繰り広げられておりました。各こども英会話運営会社は、ホームティーチャーの獲得と、生徒さんの誘導にかなり力を入れている状況のようです。
英会話大名は特にこども英会話に特化しているわけではなく、また教師の雇用形態も共通項はなく、全般的な業態はかなり異なりますが、しかし販売しているサービスが英会話授業という点ではかなり類似している側面があります。英会話大名はこれらの大手資本の会社とは異なり広告販売費を大きくさけるわけではありませんので、またテレビなどマスメディアを用いるような商圏の広さもなく、これらの大手こども英会話教室の数字と比較することにはあまり意味がありません。とはいえ、1教室当たりの売上高、平均生徒数などの上記資料を見ると、英会話教室の運営はなかなか厳しいものがあるということをあらためて思います。780万円という額はおそらく日本の平均世帯収入に近いくらいの数字だと思いますから、仮に1教室だけをひとりの先生が運営すると仮定すると、780万円から一定の経費を差し引くと家計を支える所得を得るのは難しいことがみてとれます。ミネルヴァという大きな看板をしょってもこの金額ですからブランド力の弱い教室はさらに苦戦してもおかしくありません。
To be or not to be
英会話教室というのは1教室当たりの零細な売上高を補うためにいずれ全国展開しないとペイしない業態なのかもしれません。英会話大名も小規模のまま運営を続けていずれ消滅するか、あるいは福岡市以外の地域に展開して規模の経済を享受する規模まで拡大する道を選ぶのか、長期的には2つにひとつの選択肢だけなのかもしれません。To be or not to be, that is the question.
こども英会話教室を利用する側の方たちの視点からこの状況を語れば、ミネルバに通っている生徒さんのテキストはどうなるんでしょう。ミネルバはもともと全研という名称の英会話教材を訪問販売で販売することありきで、教室はあとづけで始まっており、ミネルバのテキストはこども英会話教室の重要な構成要素と思われます。ベネッセはもともとは福武書店の商標で営業していたくらいですからこれもベネッセこども英語教室で使用するテキストには力を入れていることは想像に難くありません。ミネルバ買収によりベネッセはミネルバの展開する400教室でベネッセの教材を販売する販路を得たのか、あるいはミネルバのテキストを残し、完全に独立した2つのブランドを展開していくのか、今後の動向が興味深いところです。なお、ミネルバは東京、大阪圏が展開の中心ということで、福岡市内ではHPによると3教室くらいしかないようです。
ここ数年の英会話事業の動きでは、介護サービスの最大手ニチイ学館がマンツーマン英会話の大手Gabaを買収したあと大人向英会話をCoCo塾の新ブランドで立ち上げたあと、CoCo塾ジュニアでフランチャイズによるこども英会話に参入、ベネッセがベルリッツを買収したあと今回のミネルバの買収、英会話最大手であったノバとジオスの倒産のあと中堅の企業に事業が引き継がれるなど英会話業界以外の大きな資本による英会話チェーンへの買収による参入によって英会話業界の整理、再編が進んでいる感があります。これは英会話各社の財務的体力が弱っていることと、それにもかかわらず英会話(特にこの場合こども英会話)の教育サービスは長期的には期待できる事業分野とみられていることだと思います。
少子化が進んでいるので子供さんの数自体減っていくのは疑いの無い事実なので、今後需要が伸びると見込んでいる主な理由は小学校での英語教育の変更であろうと推測します。小学校5年生からの英語を正式科目とし、また外国語活動としての導入を小学校3年生に早める動きになっています。英語の授業の仕方も基本的には英語は英語で教えるようにしようという動向もあります。この辺のイシューについては先日の記事に投稿したのでこの記事を引用します ⇒ 学校の英語授業を英語で行うことの是非
ニチイ学館はGabaというブランドを持っていながらあえて「ココ塾」なんていう英会話教室としては不思議なブランドを作って頻繁なテレビコマーシャルを展開していて、英会話の売り上げでこんな全国的なテレビコマーシャルがペイするのかな、あのノバ(NOVA)だってついには潰れたし(前身のNOVAで、現在の経営のNOVAのことではありません)、と思っていた人もいたのではないかと思いますが、ココ塾ジュニアのホームティーチャー募集の宣伝が出てくるに至って、ああ本命はここにあったのかと合点がいきました。こども英会話のフランチャイジーとなるホームティーチャーの方の争奪戦は外野から見るとまさに今福岡では戦国時代の様相です。
こども英会話はホームティーチャーによるフランチャイズか外人の英会話講師による直営か
こども英会話の業態は大きく分けて2つの業態があり、一つは傘になるブランドの下に個人事業者、特に多くは英語に堪能な主婦などが自宅などであるいは個別指導塾などの塾の一部がフランチャイジーとしてこども英会話教室を経営するタイプ、もうひとつは大手の大人向英会話教室などがそこで教鞭をとっている外国人の講師などを活用して直接こども英会話を経営するタイプ。市場規模としては前者がはるかに大きく、今後小学生への小学校での英語導入を受けてこの分野で数社のフランチャイザーが鎬を削る競争となっていくようです。次の買収、テークオーバービッドの対象になるのはどの英会話チェーンでしょうか?
英会話大名|福岡市中央区