英会話大名

福岡市中央区大名にある英会話教室、ランゲージスクール

TEL.070-6593-0650

福岡県福岡市中央区大名 英会話大名は英会話西新と統合しました

翻訳講座受講にあたっての注意点

翻訳講座受講にあたっての注意点

産業翻訳は芸術ではなく仕事ですので、翻訳の技能には特別な生まれもっての才能は必要ないと思いますが、一方、容易に習得できるものでもありません。例えば、講習を受けて簡単な修了試験に合格すれば資格を得てそれで生業にできる、というものでもありません。かなりの時間を割いて学習しまた実業での実習をしなければプロにはなれない仕事のひとつです。

従って、当スクールでの翻訳講習を1年間受けたらそれだけで翻訳者として生計を立てていけるという約束あるいは示唆はしておりません。

翻訳業はほかの専門職についているうえで副業としてたまにやるという方はたくさんいらっしゃいますが、専業にしていくにはなまはんかではいかない部分もあります。本スクールの翻訳講座の受講にあたってはこの点を十分に留意していただきたいので、注意点として翻訳業にかかる困難な部分を以下のようにお知らせしておきたいと思います。前提として日本語・英語の翻訳について述べますが(特に日本語から英語へのディレクションである日英翻訳、Japanese to English translation studies)、ほとんどのことは他の言語ペアについても適用される点です。 (小説の翻訳などを対象とする文言翻訳ではなく、企業の国際文書の翻訳などの実需に応える産業翻訳の分野を対象にしています)

1)翻訳で収入を得るすべ:

翻訳収入を得るには、翻訳会社の社員になる、社内で恒常的に翻訳を必要とする企業の翻訳部門に勤務する、翻訳者として自立して個別に翻訳の案件を請け負って収入を得る、の主に3通りの道があります。このうち、恒常的に翻訳を必要とする企業の翻訳部門に勤務する、というのは、あまり多くの企業でチャンスがあるわけではありません。私は翻訳者になる前にいくつかの企業で英語の社内文書を多く扱いましたが、特に翻訳者として業務したわけではありません。このように多くの場合は国際部門、輸出部門などで英語の文書に多く触れる機会を得るという立ち位置がせいぜいだと思います。次に、翻訳者として翻訳会社の社員になる、というのは、考えやすい道ですが、実際にはそれほど多くの募集があるわけではありません。結果的に多くの翻訳者は、3番目のルートをとることが多く、彼らはフリーランスと呼ばれる自立した翻訳者になります。

2)フリーランス翻訳者のデメリット:

フリーランス翻訳者には多くのメリットがあります。従って非常に人気の高い職業です。人気の高い職業というのは裏を返せば需要に比べて供給の方が多い「しんどい職業」ということになります。

デメリットとしては、売り上げすなわち収入が一定しないということがあります。フリーランスは収入は出来高によるので、仕事があるときは高い所得を得ることができますが、仕事がないときは所得がないということになります。そして、残念ながら仕事の量には波があります。翻訳は請負仕事で、翻訳のもとになる文書(ソース文書)があって初めて作業できるので、つまり作り置きができないので、仕事量をならすことができません。忙しいときは寝る暇もないくらい忙しいですが、案件がないときは仕事をすることができません。アイドル(不稼働)になります。

仕事量の乱高下を避けるために仕事を得るクライアント先を多様化するなどしてまんべんなく仕事が入るようにある程度の対応はできますが、翻訳するキャパシティが限られている以上必ず仕事のない時間が生まれます。例えばホテルですが、100室のホテルであれば、満室のこともありますが、部屋が空くことも多く、年間平均すると例えば80室しか売れないということになり、200室のホテルであれば年間平均160室しか売れないということになります。翻訳も、例えばある翻訳者が1日4000文字翻訳する能力・キャパシティがあるとしても、年間を通じて欠かさず毎日4000文字の需要があるということはほぼ不可能で、それはホテルの客室と同じです。いえ、ホテルは客室のオキュパンシーを上げるために予約システムを駆使して事前に客室を販売して客室のオキュパンシーをならすことなどをしていますので、翻訳者の仕事量よりはかなり安定させやすいといえるでしょう。翻訳者の稼働率を常に高いレベルで維持するのはホテルの客室の稼働率を常に維持するより難しいと思います。

次に、競争が激しいです。日本国内での競争もかなり大変ですが、生活費が安いあるいは物価が安い国に在住する外国の翻訳者との競争もあります。グーグル翻訳など機械翻訳との競争もあります。私の印象では、翻訳の単価はかなりの長期にわたり下がり続けているように思います。景気ということもあるでしょうが、さらに大きな要因としては、機械翻訳の進展による機械翻訳との競争、海外の安い翻訳との競争という大きな下げ圧力にさらされている現状があります。機械翻訳はアウトプットはひどくて実際には商業レベルでの競争になりえないのですが、しかし市場ではとりあえずは英語もどき(または日本語もどき)のアウトプットがとりあえずはでてくるので、日英翻訳サービス価格の下げ圧力になるのは確かのように思います。一方、テクノロジーの進展によって翻訳者が1日に翻訳できる生産量は増えている面もあるでしょうから、アウトプットする語数を大きく伸ばすことができれば、単価の下げが必ずしも翻訳者の生産性の低下にはならないという要素もあります。

3)結論:

以上のように職業として翻訳をするには困難な部分があります。すでに述べたように産業翻訳を生業にするのには多くのメリットがあるのですが、メリットを語るのは本ページの目的ではないので、翻訳講座の受講⇒安定収益を得る翻訳者、に直接つながるわけではない、という観点から留意点を私なりの観察から申し述べました。以上を読んでいただいた上で、日英翻訳の初級講座である本翻訳講座に参加することをお勧めいたします。翻訳は毎日が新しい知識との遭遇であり、翻訳を仕事にすることは楽しいです。
日英翻訳講座

永江俊一:産業翻訳者


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